Soul of the Ultimate Nationとは?
ストーリー -Story-
第一部 エーテル戦争
序章 鏡次元の神
初めに世界はふたつの次元に分かれていた。
上位次元と下位次元。
その狭間に第三の次元が生まれる。
上位次元と下位次元の住人たちはそれを鏡次元と呼んだ。
他のふたつの次元と異なり、鏡次元は短い周期で消滅と再生を繰り返す有限の世界。
永遠とも呼べる時間を、鏡次元を見守ることに費やしてきた上位次元と下位次元の住人たち。
そしてある日、彼らは自分たちの利害を競い、鏡次元の存在たちを通じて争いを始める。
第三の次元の神として。
第一章 汚された名族
鏡次元に存在するブラキオン大陸。
古の時代、この大陸は7つの王国がその覇を争っていた。
数世紀に渡る戦いの末、大陸を制したのは、後に千年に渡る栄華を誇る「アルトハイム王国」であった。
人々は10世紀に渡り平穏な時代を過ごし、人生を謳歌した。
しかし、数多の犠牲の上に築きあげられた平和は、巨大な時の流れの中で徐々にその均衡を崩してゆく。
名門ロシュフェルト家の当主ロシュフェルト・フォン・ブリッツ公爵は、
彼の家で代々受け継がれてきた古文書から自分にアルトハイム王家の血が流れていることを知る。
彼はその古文書を証として正当な王位継承権を王国に対し主張するが、
国王はじめ全ての王族は彼の訴えに対し聞く耳すら持たなかった。
それどころか、彼を簒奪者たらしめんとする謀議までが謀られることになり、
ロシュフェルト候は逆賊としての汚名を着せられてしまう。
このことに憤慨したロシュフェルトは、彼を支持する貴族らと共に、
人間と魔族の混血であるヘロン族と結託、自身に闇の力を宿してしまう。
強大な力を手に入れたロシュフェルトは瞬く間にヘロン族を併呑し、
ガイスト帝国という巨大勢力を創り上げ、アルトハイム王国に宣戦布告するのだった。
第二章 英雄
アルトハイム王国とガイスト帝国の戦いは100年に渡り繰り広げられ、いつ果てるともなく続いたが、
一人の英雄の出現により戦況は大きく変化する。
英雄の名はシュバルツ・フランメ。
アルトハイム王国ではすでに伝説の騎士として名を馳せていた彼の獅子奮迅の活躍で、
この戦は王国側の勝利で終結しようとしていた。
シュバルツはその強さ、人格から王国内で絶対的な人気を誇っていた。
その人気に一抹の危うさを覚えたアルトハイム国王は、自身の地位を守るため、
愛娘であるアリシアをシュバルツに嫁がせる。
そしてこの選択こそが、後のブラキオン大陸を襲う多くの悲劇の始まりとなる――。
第三章 不滅の帝王
王女アリシアとの婚姻、国民からの崇拝、輝かしい戦歴、シュバルツを取り巻く全ての状況が
彼を王の座へと押し上げようとしていた。
「新王シュバルツ」――王国内に広がる国民たちの声望に危機感を抱いた国王は、
自分の選択が大きな過ちであったと気付く。彼の苦悩を取り除くには道はひとつしかなかった。
英雄シュバルツと憧れの王女アリシアとの婚姻。
祝福の表情の裏側に、暗い嫉妬の炎をたぎらせていたのはシュバルツの実弟オズワルド。
常に兄の影を踏むように生きてきた彼が、初めて自分の意思で愛した女性が王女アリシアであった。
だが、そのアリシアすらも兄のものとなってしまった。これ以上「英雄の弟」でいることはできない。
アリシアを手に入れるため、彼はその剣を抜く。
そして――
二人の男の心の闇はついに凶刃となって英雄に襲いかかる。
ガイスト帝国との掃討戦で指揮をとっていたシュバルツは、遠征先で何者かに襲撃され、
その戦いの最中に態勢を崩し、断崖に突き落とされてしまう。
突き落とされる刹那、彼が見たものは自分を見下ろす弟の能面のような貌。
その手に握られていたのはアルトハイム王国が過去に行った“正式な”暗殺に用いた剣。
仄暗い奈落の底で、死の間際に二人の裏切りを知ったシュバルツ。
その絶望が、憤怒が、憎悪が地底に眠る巨悪を呼び醒ました。
稀代の英雄が死に、不滅の帝王シュバルツ・フランメが誕生した瞬間であった。
第四章 復讐
全ての存在を越えた、圧倒的な力を手に入れたシュバルツは、その復讐心のままに殺戮を始めた。
手始めにロシュフェルト率いるガイスト帝国を降伏させ、
ヘロンの軍団を率いて瞬く間にアルトハイム王国を蹂躙、
自分を裏切ったアルトハイム王、オズワルドを処刑。
遂には元妻であるアリシアすらもその手にかける。
大陸の大半を征服し、復讐を遂げたシュバルツ。
しかし、彼の心にはなんら充足は与えられなかった。
復讐の対象を失い、永遠の生を虚無とともに生きることに気付かされた時、
彼は自らに取り込んだ巨悪を通じ、世界の真実を知る。
別次元の存在――。
彼の幸福な半生も、全てを奪ったこの戦いも、何もかも彼ら別次元の住人の恣意であった。
新たな復讐を見出し、シュバルツは歓喜に震えた。
不滅の帝王は再び戦場へと向かう。
そう、何もかもが思い通りになると信じている、神を気取る俗物共。
その喉元にこの剣を突き立てるために――。
第五章 エーテル戦争
鏡次元を脱し、上位次元や下位次元への道を作るためには莫大なエーテルエネルギーが必要だった。
そのことを知ったシュバルツは、この世界全てのエーテルエネルギーを奪うため、
ブラキオン大陸全土の侵攻へと乗り出す。
エーテルエネルギーは無限の資源ではない。
鏡次元の持つ生命力を削りながら発生している有限のエネルギーであり、
その過剰採集は次元の寿命を加速度的に縮めてしまうことになる。
帝国内でも、この世界を破壊してしまう行為であると主張する反対派は存在したが、
シュバルツは自らの意思に従わない者を全て処刑し、強制的な意思統一を図る。
そして、本格的に侵攻を始めた帝国軍の力は圧倒的であった。
東ドラゴンの一族が滅亡し、ヴァルキリーたちが守護する森は全て焼かれ、
ありとあらゆる生命が奪われた。
ブラキオン大陸の全てが、帝王の手中に収まるのは時間の問題と思われていた。
人々は疲弊し、殺され、世界が不滅の帝王の前に屈しようとしたその頃、
大陸の北端にある辺境の村にその人物は現れた。
第二部 ガイダンス連合軍
第六章 解放軍とイグニス
ガイダンスと名乗る反帝国のレジスタンス組織。
その組織には滅亡の危機に瀕していたドラゴンナイト達や神秘の力を持つエレメンタリストの一団、
畏敬の念を込めてバーサーカーと呼ばれる屈強な戦士たちが所属していた。
中にはドラゴンナイトとの決定的な不仲が伝えられるヴァルキリー達の姿すら見受けられた。
この異色の軍団の指揮を執るのはひとりの女性。
周囲からはイグニスと呼ばれるこの総司令官は、
要職に就きながらも、その出自などは全て謎とされていた。
ガイダンスの戦士たちに知られているごく一部の情報では、彼女は元々帝国の重臣の娘であり、
父親がシュバルツに処刑されたため、帝国を出奔したらしいということだけだった。
独自の諜報機関を持つ彼女は、帝国軍の内情に精通し、その情報を最大限に活用することで、
ガイダンスに局地的な勝利をもたらすことに成功した。
彼らの神出鬼没の活躍もあり、大陸に住まうそれぞれの種族も、滅亡の危機を脱することができた。
そこでイグニスは、各種族の代表者に対して、連合軍の結成の檄を飛ばすのだった。
第七章 ガイダンス連合軍
イグニスが糾合した連合勢力は、ガイダンスが帝国軍の動きを牽制している隙に、
その拠点をベルトヘンに置いた。
エソッド村で兵士を募り始めた連合軍は、次第にその規模を拡大し、
数か月のうちに帝国軍に匹敵するほどの勢力となっていった。
そしてその中心には常にイグニスがいたことから、
人々はこの反帝国勢力を「ガイダンス連合軍」と呼ぶようになっていた。
一大勢力となったガイダンス連合軍。軍の巨大化が招いた最初の問題は、
ベルトヘン村という拠点の狭さと戦闘で消費される物資の供給であった。
この問題を解決し、さらに勢力を拡大するためには広大な土地が必要であった。
新たな拠点を探し始めたイグニスの元へ、ロシュエル共和国の使者が訪れ、
イグニスへの協力を申し出た。
ロシュエル共和国はアルトハイムの残党と旧ロシュフェルト公爵領の市民によって新たに作られた国で、
その歴史はまだ浅く、国内の情勢も定まっていない状態であった。
連合軍の首脳陣は、ロシュエル共和国がガイダンス連合軍を招き入れることで、
帝国軍に対する牽制になると考えていると判断したが、
ただ一人イグニスだけはその考えに賛同しなかった。
第八章 野獣の森
ロシュエル共和国の首都エテレインへの進軍には、いくつかの解決しなければならない問題があった。
まず、ここ最近活発な動きを見せているアイアンビースト族による襲撃の可能性。
野獣の森と呼ばれる地域を通過する際に、
この土地を根城としている彼らとの衝突は避けられないだろう。
もうひとつイグニスが懸念しているのは、側近のシャドウが持ち帰った情報。
「ロシュエル共和国は既にガイスト帝国に恭順の意を示している」
もし、このことが事実であるとすれば、今回の申し出が連合軍に仕掛けられた罠であることは明白だ。
進むべきか、留まるべきか。
葛藤のさなか、イグニスに決断を促す事件が起きる。
アイアンビースト族が連合軍の拠点であるベルトヘン村に対して夜襲をかけたのだ。
襲ってきた敵の数は百にも満たない数であったため、半刻ほどで事態は収束したが、
この戦いの中で兵士ではない一般の村人が数名、命を落とした。
この事件を受けてイグニスは、エテレインへの進軍を決意するのだった。
第九章 エテレイン入城
野獣の森でアイアンビースト族を下し、一気にエテレインまで進軍した連合軍であったが、
城を目前にして、シャドウの情報が正しかったことを知る。
ロシュエル共和国軍とガイスト帝国軍に挟撃されるも、
かろうじて窮地を逃れた連合軍は一旦トリンゲル村までの撤退を余儀なくされる。
イグニスはすぐに村内に幕舎を設置、エテレイン城攻略の軍議を開くが、
エテレイン城は大陸にその名を知られた難攻不落の要塞であり、
攻略の糸口さえ見つからない状態であった。
残された選択肢はひとつ。
トリンゲルから地下水路を通ってエテレイン城内に侵入する経路のみであった。
だが、侵入経路がその地下水路しかない以上、当然ながら敵軍が配備されている可能性は高い。
さらにこの地下水路は数世紀に渡り使用されておらず、正確な地図さえ用意できない状態であった。
そこでイグニスはガイダンス内の精鋭数名に地下水路の探索を命じ、正確な地図を製作すると同時に、
エテレインに存在する反帝国勢力との接触を試みた。
そして、選ばれた戦士たちはエテレインへの潜入を果たし、反帝国勢力と結託、
ロシュエル共和国政府を分裂状態に陥らせることに成功した。
機を逃さず、ガイダンス連合軍は地下水路を使い、第二陣をエテレイン城内へ送り込む。
混乱をきたしたロシュエル共和国政府は政治機能を失い、
首脳陣のことごとくは城外へ逃れるか、処刑された。
かくして、イグニス率いるガイダンス連合軍は要害エテレイン城を制圧、
新たな拠点を手に入れたのだった。
第十章 エーテルプラント
エテレイン城を手に入れたガイダンス連合軍。
旧ロシュエル共和国の反帝国勢力を取り込むことで、その規模は更に膨れ上がっていた。
ここへきて、軍の再編成の必要に迫られたイグニス達は、しばしの間、その作業に追われることになる。
一方、連合軍の動きが止まった隙をついて、帝国軍はエテレイン地方の南側に広がる、
広大な雪原地帯とそこに隣接する竜族の谷へと侵攻を開始する。
シュバルツは瞬く間に両地域をその掌中に収めると、
エーテルプラントと呼ばれる謎の装置で各地のエーテルを吸収し始めた。
更に彼は己の復讐を実現するため、ヘロンの秘術により生物兵器「デスドラゴン」を創り上げる。
そして、帝王が次に目を向けたのは、雪原地帯と竜族の谷の境界付近にそびえ立つ5つの塔。
「呪われた塔」と呼ばれるこの5つの塔は、
いにしえよりこの大陸の生命を司ると伝えられる賢者達の遺産だった。
この塔が、鏡次元の生命の源、エーテルと深い関わりを持つと判断したシュバルツは
帝国軍最強を謳われる四天王のひとり、カルバスを派遣する。
第三部 最後の希望
第十一章 雪原の大宮殿
エテレインでの軍備編成を終えたイグニスの元へ、
親衛隊シャドウから帝国軍の活発な動きを知らせる報告が舞い込んだ。
シュバルツの目的は定かではなかったが、良からぬことが起きていることは彼女も感じていた。
連合軍本隊に雪原地帯への進軍を指示し、呪われた塔へはシャドウを向かわせることにした。
雪原では帝国軍の伏兵に遭ったものの、
もはや帝国軍に肩を並べるほど強大になった連合軍にとってはそれほどの困難もなく、
白銀の世界にそびえる暗灰色の大宮殿までたどり着いた。
そして、死闘の末、城主エーリッヒ・シューバルトを打倒した連合軍。
その戦いの中でイグニスはエーテルプラントの存在を知る。
彼女はこの装置について詳しく調査しようとしたが、
連合軍内のドラゴンナイトたちが竜族の谷の奪還を唱え始め、
彼らの連合軍内での発言力を無視できないイグニスはその主張を認めざるをえなかった。
第十二章 竜族の谷の解放
先を急ごうとするドラゴンナイトたちを諫めながらも、最大速度で竜族の谷を目指す連合軍。
だが、谷の入り口で彼らを待っていたのは、ヘロンたちによって施された結界だった。
結界を解く方法を知るエレメンタリスト、ベシャハルトの協力を得て
なんとか竜族の谷へと進入することに成功した一行の前に、想像を絶する光景が開ける。
雄大さを誇ったドラゴンの聖地は見る影もなく、
その廃墟を帝国が放ったモンスターたちが徘徊していた。
イグニスは幕舎を設営し、モンスターと戦う一方で、この場所で何が起きたのかを調査し始める。
調査の途中、敵陣で孤立してしまった偵察部隊を救出したが、その偵察部隊から驚くべき報告を受ける。
ヴァルキリーが使役する精霊がヘロンと行動を共にしている、
というその報告は連合軍内に不穏な空気を漂わせた。
もともと因縁のあるドラゴンナイトたちはヴァルキリーを徹底的に追及し始める。
連合軍内で湧き上がるヴァルキリーたちへの疑惑の声。
そして遂にヴァルキリーたちは、自らの潔白を証明するため、単独で出陣するのだった。
谷の内部を調査するヴァルキリーたちが目撃したのは、
デスドラゴンにさらわれていくドラゴンナイトの族長、大元老アドリゲ・ディオラシスの姿だった。
ディオラシスを奪われたために、帝国軍の言いなりになっていた竜族たちの魂を解放した
ヴァルキリーたちは、イグニスの元へ戻り事の真相とディオラシスの件を報告した。
報告を受けたイグニスは、至急ディオラシスの救助のための部隊を編成する。
そして、竜族の谷の奥深くまで侵攻した連合軍は遂に大元老ディオラシスの救出に成功する。
ディオラシスの口からデスドラゴンとエーテルプラントに関する秘密を聞いたイグニスは、
彼に連合軍への合流を促す。ディオラシスはひとつの条件を提示し合意した。
ディオラシスが出した条件とは、竜族の谷の最深部にあるドラゴンの聖地へ進入し、
そこで待ち構える竜騎士団の団長を倒すことだった。誇り高き竜騎士団長は、
今ではヘロンの秘術により谷を囲む結界の礎とされており、
その魂までもが堕落してしまっている。ディオラシスは竜騎士団長の魂の解放と、
ヘロンの作りだした結界の破壊を連合軍に依頼した。
ディオラシスの頼みに応えるため、ガイダンスの戦士たちは再び竜族の谷の最深部へと向かう。
既にヘロンの道具になり下がってしまった竜族たちを次々に浄化し、
数世紀に渡り禁断の地とされてきた聖域へと足を踏み入れた戦士たちは、
悲しい結末を迎えた竜騎士団長の身に剣を突き立てる。
数刻後、竜族の谷の解放を告げる報せがイグニスの元へと届いた。
第十三章 大祭礼
凍りついた宮殿に続き、竜族の谷まで解放したガイダンス連合軍。
この噂は瞬く間に大陸中に広がり、それまで帝国軍を恐れてその身を竦ませていた
多くの勢力が、ガイダンス連合軍に合流してきた。
凄まじい勢いで巨大化する連合軍は、既にこの時、帝国軍を凌ぐほどの勢力となっていた。
そんな連合軍の動きに帝王シュバルツは全く関心を示そうとしなかった。
正確に言えば、連合軍のことなど彼の眼には映ってすらいなかったのだ。
他次元の住人たちへの復讐。唯一の目的に向かって邁進するシュバルツは、
第二のエーテルプラントを作り出す計画を進行していた。
帝王の腹心である暗黒の大司祭は、生きている人間の生体エネルギーを
強制的にエーテルエネルギーへと変換する邪法を編み出した。
この邪法の餌食となったのはアイオルト城とその地方で生活する住民たち。
生体エネルギーを奪われた人間たちは大司祭の手足となって動く不死者となってしまい、
命ぜられるがまま、新たに作られたエーテルプラントを守るのだった。
この悲劇を聞いたイグニスは、すぐに軍をアイオルトへと向けた。
アイオルトを探索する連合軍は、ヘロンの忌まわしき邪法の存在を知る。
そして、災厄の根源であるエーテルプラントを破壊するため、
アイオルト共同墓地の深部へと軍を進めるのだった。
エーテルプラントの破壊には成功するも、時すでに遅く、
アイオルト全域へと広がった死の呪いは拡大を続けた。
もはや、この邪法を執り行う者を取り除かねば、
アイオルトを浄化する方法はないと判断したイグニスは、
ガイダンスの精鋭たちに暗黒の大司祭討伐を命じた。
その後も徐々に苛烈さを増す戦いの果てに、遂にガイダンス連合軍は暗黒の大司祭を追い詰めた。
おびただしい数の不死者を使役する暗黒の大司祭は、間違いなく今までで最強の敵であった。
戦いの最中、多くの戦士たちが命を落とした。
永遠に続くかと思われた戦いも、次第に連合軍に形勢が傾き始め、
ついには暗黒の大司祭もその身を粉々に打ち砕かれた。
第十四章 最後の希望
大祭礼と呼ばれた邪悪な儀式を止め、エーテルプラントも破壊した連合軍。
帝王の目論見は打ち砕かれたかに見えた。が、それは既に手遅れであった。
十分なエーテルエネルギーと、呪われた塔で手に入れた賢者の遺産を使い、
帝王シュバルツは絶対的な力を手に入れていたのだ。
その力を使い、彼は圧倒的な戦力の不死者の軍団を作り上げた。
勝敗は最初から決していた。倒しても倒しても、次々と生まれてくる不死者たち。
戦いで命を落とした連合軍の戦士は、すぐさま帝王の尖兵となって蘇り、かつての仲間に襲いかかる。
バーサーカーの不屈の闘志、ドラゴンナイトの叡智、ヴァルキリーの祈り、
エレメンタリストの魔法、そしてシャドウの冷徹な刃…。全てが虚しかった。
連合軍の壊滅と帝王の大陸統一は確実な未来となった。
あらゆる戦いで敗北し、瓦解する連合軍。絶望的な状況の中、だがイグニスだけは諦めなかった。
まだ方法はある。限りなく不可能に近いが、この世界を救う唯一の方法が。
シュバルツの暗殺――。
他に選択肢はなかった。
はじめにドラゴンナイトが道を切り開いた。その後を他の種族が続く。あまりに多くの血が流れすぎた。
二度と取り戻せない数多の犠牲の果てにイグニスはついにヘロンの居城へたどり着く。
不滅の帝王を滅するために、今、世界の最後の希望がその一歩を踏み出す。